The sun rises again.

フィクション

2017/07/12

朝起きると、セミがわんわんと鳴いていて、ジメッとした空気があたりを漂っていて、それはもうまさに夏だった。 前の晩に夜遅くまで本を読んでいたので幾分頭が重たい。

読んでいたのは、囚人が本をよむ会をボランティアで開く女性が主人公で、はじめはあまり本に興味を持っていなかった囚人たちが本を読んでいくに連れてその面白さ、奥深さに気づくと同時に、自分の生きてきた軌跡や人間が生きるということはどういうことなのか、といったことを考え始める、というようなやつだったような気がする。 なにせ私は記憶力が無いので、読んでいるときは夢中でも終わるとすぐに忘れてしまうのである。 今も昨日読みながら書いたメモを見ながらなんとなく思い出しつつ書いている。

  • 贈り物をすること
  • 充実した時間を過ごすこと
  • 体で触れ合うこと
  • 相手のためになる行為をすること
  • 肯定的な言葉をかけること
  • 葡萄, えびちゃ(葡萄茶)
  • 怒りの葡萄
  • 第一次世界停戦戦追悼記念日がアメリカにはあるのに日本には第一次どころか第二次すら無いのはなんでだろう
  • オンタリオ湖
  • トロント, 隣には Ajax
  • アマースト島, Amherst Island
  • サラエボチェリスト
  • 捨て鉢: 望みを失ってどうでもいいと思うこと、自棄糞.

なんだかいろいろなことをメモっているようだが、ぼんやりとしか思い出せない。 メモというのは書いている瞬間の満足感で終わってしまって、ほとんど見返さないしこうやって見返してもあまり思い出せないので、僕にとっては「記憶と思考のアリバイ」程度の意味しか持たない。

昼ごはんにサブウェイのサンドイッチを買っていった。 生ハムとマスカルポーネ。今日はちゃんと発音できた。気がする。今日は外が涼しいのもあって、緊張せずに注文できたからかも知れない。 いつも少し動くだけでとんでもない量の汗を書いてしまうから、それが気になっておちおち注文もできないのだ。 相手からどういう風に思われているのかが気になってしまって、この場をすぐにさりたくなってしまう。多分僕が思っているよりも相手はそんなこと気にしていなくて、むしろ僕がトマトとオニオンを多めに注文したことで頭がいっぱいになっているかもしれない。特に今日の店員さんは新入りだったのか、セサミのパンを切るのもぎこちなかったし、オイルアンドビネガーで頼んだのにバジルソースをかけたり、まあ結構いろいろやらかしていたので多分僕の方を見る余裕なんてなかったに違いない。 それがわかっていても僕は汗をかいてしまう、滝のように。本格的に病気かもしれない。

オフィスに行くと、同期の二人と事務の3人だけが来ていて、上司はまだ出社していなかった。これもいつものことだ。特に気にはしない。 適当に仕事をしながら、昼になるのを待つ。 同期の二人は外に御飯に行くらしい。僕はサンドイッチを買っていたけれど、それについていくことにした。 ちょっと仕事に集中してたのと、前日の夜あまり食べず朝も抜いていたから、お腹が空いて仕方がなくなっていたのだ。 というのは一つの理由で、もう一つはこの三人でご飯を食べるのが僕が好きだからだ。上司と一緒にごはんに行くのも好きだけれど、やっぱり会社での上下関係というのは、御飯の場であってもどうしても意識してしまう。

あともう一つ大事な点は、彼が御飯中にタバコを吸うのが好きではないから。 それに加えて歩きタバコをするし、それをみちばたに捨てるのである。やっぱりこれはどうしても許すことができない。 僕が何も言わないからだと思うけれど、吸ってもいいかという一言すら無いし、あと道に捨てるのはもうどうしようもない。どうしようもない。 今更僕がやめなさいなんていうのも違うし、言ったところで直るとも思えない。直ったとしても僕の前でだけとかだろうし、それは根本的な解決にはなっていない。

別に僕は世の中からすべての悪いことをなくしたいと言っているわけではないし、理想はあるけれどそれは無理なのも知っている。でもそれを目撃して、見なかったふりをすることを強制されることは、どうしても許容できないときがある。ここ最近は特にそうだ。だからできれば彼と一緒に行動したくないのだ。

でも一方で彼の良いところも知っているし、人間を短所だけでダメだと判断することも僕は好きではない。なので現在は悪い面を見ないように、という方針でなんとか僕の精神衛生を保つ作戦に出ている。毎日我慢するのはそれなりに苦痛なのだ。

話がそれた。結局僕は同僚と一緒に御飯を食べに行った。 行きつけの居酒屋のランチ。 店内はとても落ち着いた雰囲気で、周りは近くのオフィスのサラリーマンでごった返している。 いつも頼むのは700円の刺身定食。値段の割になかなかのボリュームで、御飯も美味しい。そして何よりみんなタバコを吸わない。良いご飯である。