The sun rises again.

フィクション

5月

4月が終わった。新社会人となって初めての4月が終わったことになるが、思い返すとたくさんの新しい経験と危機感とを感じ続けた一ヶ月だったように思う。

会社のこと

会社がどういう商売をしていて、どう成り立っているのかは、正直入社するまでちゃんと把握できていなかった。しかし、オフィスが5人も入ればいっぱいいっぱいなただの賃貸住宅で、従業員が片手に満たず社長にとても近しいところにいると、嫌がおうでも色んな話が耳に入ってくる。そうやって、段々と会社の輪郭を掴んでいった一ヶ月であった。

悪い会社ではないと思うけれど、突飛な会社でもないし、まあ言ってしまえば普通の中小企業であった。やっている仕事がちょっと新しいことであるというのはあれど、会社がやらなくてはならないことは、どこも対してかわらないんだなという印象を受けた。

それは、結局のところ会社に利益を残しつつ、従業員に給与を払いつつ、自分たちの給与を捻出する、ということである。至極当たり前のことであるが、大きい会社にいると多分このあたりが曖昧になってしまうのだろうと思う。細分化されたセクションをやっていれば、そういった事務的なこと、運営のことには気を配らなくても良いからである。それってサラリーマンなのだから、考えなくてもいいでしょという発想もありだとは思うが、僕としてはそれは思考停止なような気がしているので、今のいわば厳し目の環境は、刺激がたっぷりで楽しいと思うときもあるし、ちょっとしんどいなと言うときもある。

仕事のこと

インターンで1ヶ月弱会社に入って仕事をしたことは会ったけれど、ほとんどアルバイトに毛が生えたようなことしかしていなかった。ゆえに先月からの仕事は初めて仕事っぽい仕事であるといえる。

わかったことはたくさんあるけれど、一番大きい発見は「自分は何も知らない」ということだった。言い換えれば、無知であり無能である、という私を発見した。学生時代はたくさん勉強をしたつもりだし、たくさん本も読んだと自負していたところがあって、それなりに戦えるのではと思っていた。いざ仕事が始まってみると、周りで話している内容が全く意味がわからないことが多くあり、唖然とした。それはマーケティングの用語であったり、インフラ周りのIT用語であったり、コンサル会社が言ってそうな要件定義周りの用語であったりと、多岐にわたる。彼らは、当たり前のようにそういう用語を用いて話をしていて、もはや私と別の言語を喋っているかのようであった。「そのうち分かるようになるから安心して」とは言われるものの、やはり知らないことが目の前に転がっている状況は、なかなか精神衛生上よろしくないところがある。私はかなり動揺した。

と同時に、新しい勉強すべき領域を定義してくれて、ありがたかったという面もある。ここ一ヶ月、機械学習周りの勉強はそこそこであったけれど、一方でデータベースだったり、マーケティングだったりの概念は、かなり勉強できたのではないかと思う。いろんなことを学んで広い領域の人と話をしていくことが、僕のやりたいことの一つでもある。