The sun rises again.

フィクション

がまん

最近我慢が全くできなくなっていることに私は気がついた。晩御飯を作りながらつまみ食いは当たり前。やるべきことをほっておいてやりたいことばかりする。人と会う予定を立てれば予定の当日になるととたんに会いたくなくなって、気がついているのにもかかわらず「あ忘れていた。」とすっぽかす。どうにも自分がやりたいことしか、やれなくなってしまっているようだ。これは、要するに幼稚園児と同じであって、即ち僕には、大人としての価値がない。

やりたいことばかりやってきた人生だった。部活も、勉強も、大学も、恋人も。就活だってそうだった。やりたいように、ただ自分が楽なように。問題なのは、どこかで決定的な破綻は起こらなかった、ということに尽きる。自分が楽なようにやった結果、普通は痛い目を見るのだろう。そしてそこから、頑張っていくのだろう。それが人間というものであるし、一回落ちて、落ちたところから人間として、自分がどういう存在なのかを、見つめなくてはならない。

その作業はとってもしんどいはずだ。自分が間違っているところ、誤っているところを、精査しなくてはならない。そしてやめようと思ったって、なかなか直るようなものでもない。「ああこういうところが駄目なんだよ」と思いなが同じ間違いをするのだろう。でもそこで諦めずに再び生きるのだろう。それが美しい、人間のあり方だ。

本質に蓋をして、ヘラヘラしている人間は、美しくない。醜悪だ。

自分に対しても本当のことが言えないのに、人に対して誠実であることが、果たしてできるだろうか。自分との対話ですら嘘をつく人間が信用できるだろうか。