The sun rises again.

フィクション

新しい習慣

この間、仕事についてお話をして元気が出たのもあって、精神がだいぶ落ち着いたように思う。足をけがしてランニングできなくなって体力が余っているから元気が出たのかもしれないけれど、僕の感覚としてはこれは明らかに精神の作用であるように思える。

ざっくりというと、我慢ができるようになった。

ご飯を食べるのにしても「今日はこのへんにしておこう」でやめられるようになったし、ちょっと気分を害することがあっても「まあいいや」で流せられるようになった。心に余裕ができているのである。

正直まだ数日だし、三日坊主になるかもしれないから大口を叩くのは止めておくけれど、このままいいように続けばいいなと思う。

加えて、落ち着けるような努力もしようと思って幾つか新しく始めたことがある。一つは毎日風呂に入ること、もう一つはコーヒーの代わりに温かいお茶を飲むこと。

一つ目について言えば、僕は別に風呂に入らないわけではない。どちらかというと、入りたがりな方だ。温泉にも好んでいく。

しかし家で湯船に湯を張るのが、どうしてもめんどくさいのである。なので今まではささっとシャワーで髪の毛を洗って体をさっと流して、ぐらいで終わらせていた。第一湯がもったいないじゃないか、という尤もらしい言い訳もついてくる。

しかしよくよく考えてみれば、風呂というのは入るととても気持ちがいいものだ。
阿呆のようなコメントだけれど、入っているときの安心感といい、出たあと体がぽかぽかと発熱していることを感じられる瞬間(ただし冬に限る)は、何事にも代え難い気持ちよさがある。それに湯の温度による発汗効果もあり、リフレッシュできる。

事実風呂に入り始めて数日だが、もうこの気持ちよさが癖になって、今日も帰るなり一番に風呂に入った。そして風呂の中で本をよむ。これがとても良い。誰にも邪魔されないので、集中して本が読めるし、風呂に入っていても飽きない。程よく汗をかいたら、本を洗面台においてシャワーで流す。なんと気持ちのいいことだろう。これは一人暮らしで湯を張っていない人に啓蒙をする勢いで気分が良い。

二つ目については、僕は明らかに珈琲を飲みすぎている。一日に1リットルぐらいは軽く飲む。珈琲基地外である。
そして別に真面目に、一杯一杯を入れてその結果として1リットル、なのではなく、珈琲メーカーで大量生産、そして暇があれば飲むというもったいない飲み方をしている。そのせいか寝付きが悪く、睡眠が不規則になっているのである。

これを改善すべく、夜のどが渇いたら温かいお茶を入れるようにした。大したお茶ではなく、おーいお茶のパックのやっすいやつだ。台所に行ってやかんで湯を沸かし、お茶を作る。珈琲ばかり飲んでいた僕にとっては、久しぶりのお茶は新鮮で、とてもほっこりする。何よりこの煎れる過程が楽しい。本来こうやってじっくり味わって飲むものであって、水分がほしいだけならば水を飲めばよいのである。

この2つの習慣を定着させられれば、だいぶ真人間になれるような、そんな淡い期待を持っている。

ちょっと前に比べたら、だいぶ落ち着いたなぁと、ここまでかいて思っている。こんな生活のこと、ほとんど考えずにずっと酒しか飲んでいなかったなぁ。