The sun rises again.

フィクション

暑い.とても暑い.

 

梅雨時期特有の気分の晴れないどんよりとした空と雨が終わったと思ったら,今度は圧倒的な暑さで,家にいてクーラーを入れていないと本当に何もやる気が起こらない.

気づけばもう7月で,夏も近いから当然なのだけれど.

小さい頃は夏がとても好きだったのを思い出す.夏は夏休みもあるし,外に出て昆虫をとったり野球をしたり,プールにいったりもしたっけか.当然夏休みの宿題というのもあったけれど,いっつも夏休みが終わるまで終わらなかった.というか夏休みが終わっても終わっていなかった.

あの頃のことを思いだすと,一日一日がとても濃密だったことを思い出させてくれる.

毎日新しい発見があって,明日はどうしようかということを常に考えていて.思考が未来に向かっているというか,明日が待ちきれないという感じだったように思う.

 

そんな僕も気づけばもう23歳で,来年からは会社に勤めて働いていて,当分小さいころのように夏を感じて遊ぶことなんてなくなっていって,そして多分気づいたら30,40と年をとっていくのだろう.

会社に勤めれば毎日毎日似たような仕事に追われるようになって,そして小さいころのようなあの感覚はもう訪れることはないのだろう,と思うと,少し悲しくなったりする.

 

といってじゃあ自由にやっていいよ!と言われていろいろできるか,と問われれば僕はそれはできない.というかできていない.

今現在の僕はまあ言ってしまえば「男でもできる」状態にある.留学したければできるし,研究を頑張って有名な学会に論文を通すことだってできるだろう.学校を休学して一年間世界を見てくる,みたいなことだってできるはずだ.

でもそれをしないのは,今現在の僕に僕が甘えているからに他ならない.別に今の僕に不満がないわけではないけど,現状をぶち壊してなにかするというほどに,元気がないしやる気もない.言ってしまえば怠惰である.怠惰,怠慢.

やっていることといえば,コーヒーを飲んで,酒を飲んで,眠くなって寝て,行かなければならない授業には出て(といっても単位がギリギリなのであるが)という繰り返しである. 何も生産的ではないし,意味が無い.といってこれをどうにか変えられるような行動が起こせるわけでもない.

 

なんで行動を起こせないのか.

行動を起こさなくてはならない,起こしたほうが良いのは明確である.

しかし行動を起こせないのは,失敗をしたくないという心理からなのかもしれない,と最近思うようになった.何かにつけて,僕は失敗をしないように選択をしている.それがもっともよい,ものでなくても,最も失敗しなさそう,という理由で選んでいる.

結局就活もそうやって会社を決めたふしもあって,どこまで行ってもその呪縛から逃れられない.

それはやっぱり,自分が本気で選んだものが全否定されることの怖さを,人一倍に感じているからなのかもしれない.基本的に,自分の意見にそって選んだり行動したりすると,まあ集団からは異端と思われることが多い人間であるのは間違いなくって,そうするとやっぱり自分の意見は否定されることが多い.そうやってどんどんダメに成って行く.